結局あたしは転校生を連れて教室を出た。

頼まれたら断れないのはあたしも同じか。


「教室移動で使うとこだけでいいよな?」

「そうしてくれるとこっちも助かるよ。よろしく、副委員長さん」


愛想よく笑う転校生。
よく見ると人懐っこそうで“カッコいい”よりは“可愛い”って言われそうな顔をしてる。

まぁ、それは置いといて・・・。


「助かるって何が?」


「授業終わったら学校になんて用ないし、長々と案内されても迷惑なだけなんだよね」


こいつ口悪っ。
って、あたしも人のこと言えないか。


「そーいや、副委員長さんって朝はいなかったよね?」


あ、そっか。
あたし一時間目サボったんだ。
だから転校生のことも知らなかったんだな。


「副委員長さん、名前は?
俺は、夕凪 広夜(ユウナギ ヒロヤ)」


「・・・雛月(ヒナヅキ)」


夕凪は一瞬だけ訝しげな顔をした。