「仕返し・・・か。確かに効果的だよなぁ」


きっと夕凪は美音のところに行ったんだろう。

あの楽譜を渡すために。


音符が並んだだけの紙切れも、美音にとっては充分な凶器。


それを夕凪に教えてしまったのは他でもないこの俺なんだ。


「守るなんて言ったけど、結局傷付けてばかりだな」



自分の無力さに腹が立って、怒りをぶつけるように壁を殴った。


「って、こんなことしてるヒマがあったら夕凪追いかけろっての」


我に返った俺は今さら慌てて走り出した。