「雛月は前に進むのが怖いだけなんじゃない?また傷付くのが怖くて」
「一種の荒療治だとでも言うのかよ。わざわざ傷口を広げるような真似すんな」
止めようとして夕凪の肩をつかんだ手は簡単に振り払われた。
今まで一度も見せなかった冷たい目に思わず一歩後ずさる。
「何度も避けようとしたのにしつこくつきまとってくるから仕返ししてやろうと思って」
夕凪の姿が見えなくなるまで、体が金縛りにあったみたいに動けなくなった。
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