なんでこんなタイミング悪いんだよ。


振り返って見た先にあいつはいなかった。

慌てて追いかけたけど見当たらない。


きっともう校内には居ないだろう。


一番忘れたかったことを知られてしまったから。






「ミオ・・・」



この3年間、一度も呼ばなかった名前を口にした。


誰も知らない、あいつの名前。

周りに誰もいないと思って油断していた。



「誰だよ、“ミオ”って」



背筋が凍りつくように冷たくなった。