「たった2週間で弾ける奴なんているか?」


そんな奴いるわけないとでも言いたげな夕凪。


だけど、俺はひとりだけ心当たりがあったんだ。



「雛月さんは?雛月さんのお母さん、有名なピアニストなんでしょ?」


そう・・・ってなんでこいつが知ってんだよ!


「委員長、幼なじみなんでしょ?頼んでみてよ」


頼めるわけないだろ。
だって、あいつはまだ・・・。




「雛月・・・?」


夕凪は教室の入り口の方を見て、そこにいるはずのない人間の名を呟いた。