気がつけば明かり一つない部屋は真っ暗で、足元すら見えない状態になっていた。


「あたし、寝てたのか」



何となく起きる気にはなれなくて、ぼんやりと暗闇を眺める。


嫌なことを思い出させるあの物体は、完全に見えなくなっていた。


それだけで心が少し落ち着く。



―ピンポーン


誰か来たみたいだ。


親の客・・・かな?
だとしたらあたし関係ないし、出なくていっか。


―ピンポーン



面倒くさいから無視しようとしたのになかなか帰る気配がない。


「しつこいなぁ」



偶然か必然か、頭にふとある人物が浮かぶ。