「ただいま・・・」


返事は返ってこない。
もう慣れてる。



あたしは真っ直ぐに自分の部屋へ向かった。

明かりはつけないまま、ベッドに寝転がる。



カーテンを閉め切っておけば昼間でもそれなりに薄暗い。




だけど、暗い思い出から目を背けるには不十分だった。


飽きるほど見慣れた部屋だから、多少暗くても家具の場所は何となく分かる。


部屋に居れば嫌でも目につく漆黒の物体を、少しでも見えなくしたかったのに。



「あれから3年・・・か・・・」


現実から逃げるように、あたしは目を閉じた。