あー、カッコ悪…と、頭を掻く亮に声をかけた。


「いいんじゃね?」


「え?」


「つーかさ、そんなにグダグダ悩むくらいなら、無理に諦めんなっ!
…お前の気が済むまで、好きでいろよ。」


これは、自分に向けた言葉でもあった。


「航平…」


ハッと気付くと、亮の目がウルウルしている。


ヤバイ…


「お前ってば、最高っ!!」


危機感を感じたのとほぼ同時に、亮が飛びついてきた。


「ちょ…離せよっ!」


不意に、さっきこっちを見ていた柊が気になって、視線を戻した。


だけど、そこにはもう誰の姿も無く、心底安堵した。


今の俺は、感情を隠しきれているか自信が無いから。



「俺ら、ずっと親友だよな?」


俺をハグしながら、無邪気に尋ねてくる亮。


「あぁ…。」


そう答えた俺の擦れ声は、聞き取れない程に小さく、すぐに夕焼け空に溶けていった。