―充実した人生を送れるように―
父と母はそう願いを込めて、葉山充と命名した。
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「えー。今日から夏休みだが、気を緩めるな!いいか?高校2年の夏だぞ!やることはやれ!お前たちはなぁ……――」
担任の熱血教教師、織田先生。
立青葉台高等学園
2年1組特別進学クラスの担任だ。
話がやたらと長い。
「…―――最後に、学級委員 残れ!起立!さようなら」
「「「さよーならー」」」
みんな、明日から夏休みだ。
イケメンは明日からきっと、
夢のような、楽園のような、長期休暇…
いや、サマーバケーションを味わえる。
俺はというと、家でゴロゴロまったり、
何も変わらない毎日をだらだら過ごす。
千林 樹
Senbayashi Itsuki
学校のアイドルであり、
このクラスの学級委員、
それにサッカー部の次期キャプテンと噂される
頭よし、運動よし、ルックスよしの3拍子が揃った
男前がクラスにいる。
つまり、俺はこの真逆だ。
理数馬鹿、運動神経だめ、ルックスなんて…
みたいなこと。
放課後、みんな教室に残っていた。
夏休みにクラス会があるらしく、樹はみんなをまとめて話をしていた。
俺は、クラス会にお呼ばれしていない…泣ける。
「ねぇねぇ、葉山くん!」
「ん…?」