「いや、この字は那緒の字だ」



 ねぇ、どうして私の字なんて覚えてるの?


 お願い、これ以上期待させたりしないで…。







「ごめんな…那緒」




「返事いらないって書いてあるじゃない!!」


 私は、早瀬に振られたみたいだ。







 また涙が溢れてくる。


「振るぐらいなら追いかけて来ないでよ」







 私はできる限り冷めた声で言い捨て、早瀬の腕から逃れた。






「もう、いいから。諦めるために書いたから」










 私はまた、屋上へ向かって走る。




「な、那緒!?」