「那緒ー!聞いてー!」

 また早瀬が来た。

 また彼女の話…?



「那緒と俺ってそんなになかいい?」

 そんなにってどんなに?



「礼ちゃんがさぁ」


 礼ちゃん、礼奈といって早瀬の彼女。




「話聞いてる?!」

「あぁ、ごめんごめん」

「ちゃんと聞けよな!だから、俺達そんなに仲良い?」

「い、いいんじゃない?」



 友達として、ね。



「礼ちゃんがさぁ、ヤキモチやいちゃってさぁ」



 嬉しそうにはなしやがって。


「少し話せねぇかも…ごめんな?友達なのに。また礼ちゃんに言っとくよ!機嫌がなおったっぽかったらまた話にくるな!」




 それだけ言うと早瀬は自分の席に戻っていった。





 『友達なのに』という言葉にズキズキする痛みをおぼえた。





 これ以上早瀬と引き離さないで…っ!



 お願い。

 友達として、ちゃんと友達としているから…っ!