『ぅ…ん…』



リーヴスの耳に届いた微かな声
その声に気付いたリーヴスは直ぐに少女に駆け寄り、顔を覗き込む



「気付いたか!?」



「煩いよリーヴス
怯えるだろ?」



ゆっくりと目を開く少女
その瞳は翼と同様、血のように真っ赤だった



『此処…何処…』



その少女は小さくか細い声で呟き、辺りを見渡した



「俺ん家だぜ
空から降って来るからビビったじゃんよ
何?ドラゴンからでも落ちたんかぁ?」



リーヴスは少女の隣に座り、ゆらゆら揺れながら聞いてみた

すると少女は口許に手を当てて考えこんでいた
その数秒後、泣きそうな顔で言った



『…わからない…
何も…ッわからない!!』



「…一種の記憶障害だね」



壁に寄り掛かり、腕を組むオルティアは静かにそう告げた



「マジ…?
…じゃあさ!名前は!?
名前は覚えてる?」



『…リリア・アン』



少女ははっきりと言った

どうやら名前は覚えてるようだ