今夜は澄み渡る綺麗な月夜


昼間は賑わいのあった市場も静まり返り、何処か寂しげな雰囲気が漂う


その小さな町の高台にある教会の屋根で夜空を見上げている少年が二人いた



一人は短い綺麗な黒髪で猫目の少年、リーヴス・ラング


もう一人は長く美しい銀髪でつり目の少年、オルティア・ガゼル


まるでオセロのような二人は、この辺りでは有名な不良だ





「なーぁオルティア~」



静かな空気を破ったのはリーヴスだった



「ん?何?リーヴス」



「俺さぁ~
この町出て旅しようと思ってンだ…」



「なんだ、リーヴスもか…
実は僕も出ようと思ってたんだよね」



「え?マジ!?
じゃあさ!俺ら一緒に旅でもしね?」



「いいね
じゃあ一時間後、準備してまた此処でね」



そう言うとオルティアは立ち上がり、一瞬で姿を消した



「あ~!
また先に行きやがった!」



先に消えたオルティアを追うようにリーヴスも姿を消した


これは『エスケープ』と言って、俗に言う瞬間移動の魔法だ
























「わりぃ!!遅れた!」



「…遅いよ」



時間にルーズなリーヴスは約束の時間から30分遅れて来た



「遅れて来たのは許してあげるよ?
でもその荷物何?」



「んぁ?
服とゲームと漫画と食料」



「…ゲームと漫画は捨てて良いよね?」