「いい家族かぁ・・・・でも、俺・・・あの家の本当の息子じゃないんだ・・・」



「えっ!?どういうこと?」



春奈は少し困惑したような顔つきだった。



俺の父親は酒乱だったこと、母親が俺を置いて出て行ったこと、俺のことを話した。



「そうだったんだ・・・・」



春奈はなんだか悲しそうな顔をしていた。



「俺さぁ・・・あの家に来たとき、お袋に言われたんだ・・・家族は血の繋がりだけじゃないって・・・・一緒にいて、家族になろうと思う気持ちが大事なんだって・・・・」



「家族になろうと思う気持ち?」




「あぁ・・・・その言葉を聞いて俺は、初めて家族っていいなぁって思えたんだ・・・・
だから、春奈にも家族の愛っていうものに触れて欲しかったんだ・・・」



「そうだったんだ・・・」





横目で春奈を見ると、春奈の頬には涙の跡が残っていた。