「うわっ!ひでぇ、雨だなぁ・・・」



俺はビニール傘をさしてバシャバシャと音を立てながら走っていた。



ジーパンの裾は数分もしないうちに、湿り始めていた。



そして、もうすぐだというところで、深夜なのに女が1人、土砂降りの中を傘もささずに歩道の脇で顔を膝に付けて座り込んでいたのだ。





彼女を見た時、俺はなんだか時が止まったような気がした。


俺は、遅刻をすれば店長にうるさく説教されるって分かっていたのに、不思議とその女に声をかけていた。




その女が春奈だった。