-魔法界-



「…校長。いかがいたしましょうか。」

アンブローズ学園、校長室。


アイのクラスの担任が珍しく真面目な表情で校長に話しかける。


アンブローズ学園校長は魔法の鏡で人間界に修行に行ったアイの一部始終を見ていたのだ。

部屋に落ちた時から、伊藤を助けた最後まで。




「…ふぅむ。命をかけて人間を助けたのか…。」


「…その結果消えてしまいましたが…。責任を取らなければならないのですよね。」



「…そうだ、そうだが…」


校長はゆっくりと顔をあげる。


「大切なものを、見つけたようだな…命をかけででも守りたいものを、見つけたようだ…」


「…そうですね。あのお転婆が…少し、成長したのでは?」


「そうだな。だが。修行に出した私らも悪いな。やり過ぎたとは思う。」


「…………。」


担任は黙った。
自分がブラックホールのような空間にアイを押し込んだことでも思い出しているのだろうか。