「はぁー」

あたしは大きなため息をついた。

「…どうしたの?」

「聞いてよ夕陽〜!」

こんにちは!
あたし高野紗和。
南高校2年生やってます。
あたしはさっき見た光景にショックを受けうなだれている最中だ。
隣にいるのが親友の夕陽。

「また藤田?」

「藤田って呼ばないで!」

あたしはうなだれていた体を起こして夕陽を怒った。

「あーはいはい…藤田くんがどうしたって?」

夕陽は少し面倒臭そうに笑って"藤田くん"に言い直した。

「また知らない女子にアド聞かれてたー」

あたしは自分で言っておきながらさっき見た光景を思い出し再びショックを受ける。

あ…!
さっきから名前が出てる藤田くんと言うのが
"藤田一馬"
2つ隣のクラスのあたしの好きな人。
背が高くてイケメンなの!
女嫌いでちょっと無愛想なんだけどなんだかんだで優しい人。

…というわけで
あたし以外にも好きな子はいるわけで…

「まぁ紗和は他の人より藤田…くんのことよく知ってるし心配ないんじゃない?」

夕陽はまた呼びづらそうに藤田の名前を呼んでそういった。

「そうかな…?」

「そうか〜?」

紗和が自分を納得させようとしている最中いきなり男子が教室から出てきた。

「千秋〜やっと紗和のネガティブシンキングが終わりそうだったのに」

「悪い悪い!ってかアイツ藤田だっけ?どっこがいんだかね〜?俺のほうがよっぽどイケメンだわ」

あははっと笑いながら千秋と呼ばれる男の子がキメ顔をした。

「ソウダネ蓮ハイケメンダネ」

紗和は棒読み+無表情でそう言い放った。

さっきからあたしたちに絡んできてるのが
"木下千秋"