世羅は…世羅は…あたしなんかのために、色々やってくれた…。
あたしの願いを、叶えてくれた…。

「世羅…っ」

1筋の涙があたしの頬を伝い、流れ落ちて行く。

その雫は止まることを知らないまま、流れていった。

「これ…」

世羅に渡されたのは、1つの綺麗なオレンジ色の瓶。

ふわっと香る、甘酸っぱいオレンジの匂い。

「あたしから…光歌に」

最後のプレゼント。と言って、それを握らせた。

涙は、一向に止まらない。

雨のように、ただひたすら流れ落ちてくだけで。

「光歌。…あなたは幸せになれる」