「あ・・・、ごめんね、ありがとう」


私はずっと泣いていた。


詩月はの腕の中で、ずっと。

「大丈夫だよ、もう平気?」

「何かもうすっきりした!本当にありがとう!」


詩月は私が泣き止むまでの30分間、ずっと同じ体制で私を包んでくれた。

抱きしめてた、というよりはお母さんに包まれてたっていう感じ。

でも、詩月は中学生のときより全然がっしりしてたから、お父さんかな。


「俺はね・・・」

詩月が口を開いた。


「何?」

「どっちも悪くないかなって思う」


それは、今日あったことを詩月なりに考えた結果だった。

「確かにフツーに考えたら、有菜が悪いけど有菜に悪気が無いのは知ってるし。
そういうのが嫌だったら、有菜と付き合ってないしね。 」


「うん、そうだよ。でも、有菜は約束破ったじゃん・・・」


それは、悪気がないとは、いえないと思う。

「そうなんだよね、だけどね有菜は美紀乃に隠し事するのが、嫌だったし、美来にも、立ち直ってほしかったんじゃないかな」


何それ、いい解釈しすぎじゃない?正直私はそう思った。


「だって、美来がすぐ帰ってくること知ってて、わざわざそこの近くで美来の秘密バラすかな?」

確かに変だ。私が帰ってきたら、聞こえる声で話してたし。


「有菜にとっては、予定通りなんじゃない?」

「そうかもしれない・・・」