最近、詩月が、どんどん離れていく。
学校では「クール」なキャラの詩月。
私達だけに優しい詩月。
どっちが本物の詩月なのかがわからなくなっていく。
「園田」
名字を呼ばれて振り向く。
放課後の誰もいなくなった教室に立っているのは、紛れもなく詩月だった。
「って、みんなの前では呼んだほうがいい?」
いつも通り優しい詩月、何か安心する。
「えっ!でも・・・、そうかもね」
「変な誤解をされないうちにね、あ、でも、「詩月」はそのままでいいよ
「詩月」って呼んでる人いるから、勝手にね」
「園田」か、また、離れていった気がするよ・・・
「よし、そろそろ行こうか」
私達が二人きりで教室にいるのは、文化祭委員の集まりまで時間を潰してたってわけ。
私達はミーティングルームまで歩き出した。