気づくと私は病院のベッドの上にいた。

わ、たし…?


あ、そっか…
私、香奈と遊ぶ約束して…でも香奈が来なくて…
雨に濡れて…だんだん寒くなって意識を…


…そのとき、悠真くんが来た気がしたけど…


私は病室を見渡した。
するとそこには悠真くん、香奈、翔先輩の姿があった。


「明日花っ!」


「か…な?」

「ごめん!ごめん…明日花。私、翔先輩が部活に来るって聞いて浮かれてて…明日花との約束忘れてて…本当にごめんなさいっ!」


あぁ、そっか。
翔先輩来てたんだ。
香奈、翔先輩大好きだもんね。
こんなに好きな人を思える香奈はすごいよ…


「…大丈夫…だよ…」

泣きそうになっている香奈の両手を私の両手で包み込んだ。

「明日花…」


「ほら、泣かないで…?かわいい顔が台無し…」


「明日花…明日花っ!」


香奈がこんなに反省してるんだったら怒る必要ない。
香奈は根は優しくていい子なんだもの…


「翔先輩、来て下さってありがとうございます。」

「明日花…お前は優しいな…」

…友達に優しくするのは当然のことだよ、先輩。
それに、私なんかより、先輩の方がずっと優しいよ…

「そんなことないです。」

「今はゆっくり休むといい。
あの雨の中ずっと待ってたんだ。
そりゃ熱も出るだろう…」