「え?」
と言う言葉は言葉にならなかった。


青山くんは急に立ち上がると
私の唇に自分の唇を重ねていたから。



…私…青山くんにキスされて…
「…んっ」


…な…んで?


青山くんの唇は何度も角度を変え、私の唇を味わうかのようだった。


「あお…っ…」


私の声は、声にならない。
抵抗しようにも後頭部を押さえられ、顔をずらすことができない

どのくらいの間、キスしていたんだろう。

青山くんの唇はゆっくり離れて…


「男に可愛いとか言った罰。」



「……」
頭がボーッとする…
どうしてこんな…


「…なんで?
好きじゃないのに、どうしてキスなんてするの?」


わからない。
好きでもないのにキスする理由。
私にはわからない…っ!


「…まだ、わかんないの?」


青山くんの顔が少し歪んだ気がした。


「わかんないよ!!
ひどいよ、青山くん!
ひどいよ!!」


私はそう言い残すと足の治療もせずに一目散に保健室を出て行った。