「…どういうつもりだ?」

松田くんはすごく剣幕だった。
感情が読みとれないくらい低く、冷たいトーンで
言い放った。

「どういうつもりはこっちの台詞!
何で明日花を振ったのよ!」


「香奈っ!
もう良いから!」


私が香奈を止めようとしたけど
香奈は聞いてはくれなかった。


「はぁ。
女子って本当、お喋りな奴。
教えてやるよ。
中村に興味がないからだ。」


“中村に興味がない”
これが松田くんの本音?
あんなに優しい声色で話してくれたのに…
全部、全部嘘だったの…?


私…


昨日は全然出なかった涙が今、流れた。
松田くんの目の前で。


「明日花…」

「か…な。
もう……い。
松田くんの気持ちは十分伝わった。
諦めるよ。 松田くんのこと。」


もう、ここにいるのが辛い。
逃げ出してしまいたい。
いや、もう松田くんの顔をみたくない!!


「明日花…」

香奈は松田くんを睨んで言い放った

「明日花に興味がないなら、
なんで優しくしたのよっ!
松田くん、本当は優しいんだよって、
恋する乙女の顔で言った明日花の気持ちはどうなるの!?
明日花、幸せそうだった!
松田くんの為に今日もお菓子作るんだとか、いろいろ話してくれたっ!」