不思議と涙は出なかった。
でも胸の奥がチクチクと刺すように痛い。

まだ文化祭も終わってないのに、
これからどうやって
松田くんの顔を見ればいいのか
わからなかった。



そして…現実世界に戻るとか関係なしに
好きな人と両思いになれなかったのが
ショックでしかたなかった。



---次の日


私は重い足取りで学校へ向かった。
泣いていないから目は腫れてない。


でも教室全体がゆがんでいるような錯覚に陥っていた


「明日花、おっはよー!
昨日…」


ここまで言って香奈は言葉を止めた。
きっと私の元気のなさを見て、察してくれたんだろう。


「…明日花、なにかあった?」


「……振られた、松田くんに」

「……」

私がそう言ったきり香奈は黙ってしまった。

そして、いきなり立ち上がり、ある場所に向かった