どれだけの時間が過ぎた頃。
先に松田くんの焼きそばが完成した。
「中村、今日こそは大丈夫だ。
食ってみろ。」
私は言われたとおり、松田くんの作った焼きそばを口にした。
すると…
わぁ、美味しい!
3日でここまで上達するのがすごい!
「美味しいよ!」
「…っしゃ!」
それは少年みたいな表情だった。
いつもの松田くんからは想像も出来ないその表情。
その姿に私はもっと好きになってしまった。
「松田くん、嬉しそう。」
私がそう言うと松田くんが照れた様子で私を見た。
「…純粋に…嬉しかったから。」
この言葉はきっと彼の本音だった。
そんな彼が微笑ましいと思う一方、寂しい思いに駆られた。
焼きそばが作れるようになったんだから
私の役目はもう終わり。
明日からはもうやらなくて良いんだね。
そう思うと寂しい思いが全身に込みあげる気がした。