恐怖で足がすくむ。


青一さんがニヤリと笑う。


さっきの優しさの面影が全くない。


「いやっ!!」


あたしは、青一さんの手を振り払い、走り出した。


「誰かっ!!」


怖くて、足がもつれそうになりながら走る。


さっき、青一さんがポケットから出したのは、ナイフだ。


「助けてっ!!」


あたしは泣き叫びながらひたすら走る。


周りには、人っ子一人いない。