頬を薔薇色に染め、初々しい色香を放ち、堪らなく愛しい。

「エミリー、愛しておる」


「わたしも・・・あいして・・ん・・あの・・・・わたし・・
早起きを・・ん・・したくて・・ぁの、カーテ・・・・んん」


「早起き・・・?明朝であれば、早起きをしようと考えてはダメだ。今宵はまだ寝かせぬゆえ・・・」


何度も唇を攻めた後、ぐったりとした身体をベッドの上にふんわりと下ろし、ナイトドレスの肩ひもをすっとずらした。


「でも・・・もう遅いですし、アラン様も・・・お疲れではないのですか」


「でも、ではない。明朝ならばダメだと申しておる。私も明日はいつもより少々遅くても良い。時間はたっぷりあるゆえ、覚悟せよ」


「え・・・・?っ―――――!」


早起きがどうのと言う言葉を半ば強制的に無視し、柔らかな身体を優しく甘く攻めていく。


こうしていると、昼間にパトリックに抱き締められていた姿が鮮明に思い返される。

体の内にむくむくと沸き上がる醜い感情。



この華奢な肩――――しなやかな背中―――


この柔らかな髪―――


まさか、頬は触れられてはおるまいな―――



触れたと思しき箇所に唇を落としていく。

触れるたびにピクンと身体が震え、甘く切ない声が漏れる。

この声を聞けるのは私だけだ。決して他の誰にも聞かせぬ・・・。

優しく強く幾度も身体を満たし、柔らかな肌に私を刻み込んでいった―――――




―――と・・・眠らせたのはほんの4時間ほど前だ。

日頃から目覚めの悪いエミリーにとっては、早起きなど今朝はさらに難しい。


しかし、涙を零すほどに思いつめているとは・・・。

理由がいまひとつ分からぬが、エミリーなりに何かに懸命なのであろう。



いつもなら、先に起きて自室に戻るところだが、エミリーが目覚めるまで傍に居るとしよう・・・今日は私にも時間がある。


いつもの時間になれば、私がエミリーを起こせば良い。


アランは布団をかぶり直し、目の前の柔らかな身体を引き寄せた。



ほんわりとしたオーラとあたたかな身体が、アランの眠気を誘っていく。

日頃の疲れも相まって、徐々に瞼が重くなっていった。


深いブルーの瞳がゆっくり閉じられる。



こうして、私は人生最初で最後の“寝坊”というものと、後にエミリーが嬉しそうに話す出来事を、この後体験することとなった――