「深江数馬、捕獲しました」


ナースステーションに連絡すると、電話の向こうではナースの安堵した声。

心配かけやがって…!


「言っとくけど、オレは患者だからって容赦しないからなっ!!同情なんてしてやんねーからなっ!!」


ハラワタが煮えくり返ってるのは、無駄な体力を消耗させられたからか。

日頃の運動不足がたたって、まだ息が上がってる。

深江数馬はキョトンとした顔でオレを見下ろしていた。


「センセーって、なんか医者って感じしねーなぁ」

「なんだと!?」

「よく言われない?」


…よく言われますが、何か?

ゴホンとひとつ咳払いして仕切り直す。


「とにかく!すぐに病棟に戻りなさい!今日だって検査が入ってただろ?」

「明日でいいじゃん」

「よくねーよっ!!」

「どうせ死ぬんだしさ」

「…なっ…」


意外だった。

でも、やっぱそうだよな。

悪ガキでも、一人の人間。