渋滞でトロトロだった車の動きは、何が原因の渋滞だったんだろう?と思えるぐらい順調に走りだして、先生の車は遊園地の駐車場に停まった。
18時を少し過ぎたばかりなのに空は薄暗く、遊園地の入り口はライトアップされている。
帰る人もいれば、これから入る人もいる。
「チケット買って来るから、ここで待ってて」
遊園地の入り口で、先生はそう言ってスーツのズボンのポケットから財布を出した。
「あ、入場券ぐらい自分で買います」
1週間、お昼ご飯を我慢して貯めたお金。
入場券ぐらいは買えるぐらいは持ってる。
「それじゃあ、お前の願いを聞いた意味ねぇだろ?」
「でも、いつもおごってもらってばっかりだし……」
「いいんだって。ガキは大人の言うことを聞いときなさい」
先生はそう言って、私の頭をポンとするとチケットブースへ行ってしまった。