「俺、引っ越しの準備しなきゃ」


少ししか話してないのに、もう、お別れの時間が来た。


いくら隣の県だからって、離れることには変わりはない。


『もう行っちゃうの?』


「明日出発だしな。何回も言うけど、電話もメールもする。だから浮気すんなよ?」


『するわけない!陽斗もだからね!』


ふわっと、いつものシトラスの香りがあたしを包む。


「あたりまえだし。ずっとお前だけだから」



耳元で、甘く囁く。