あたしと舞と新人ホストとオーナーさんとで店を出る。

いつもはあたし達がお客さんにしてる
"送り出し"。

新人ホストと舞が楽しそうに
話しているのを見てオーナーが

「番号教えて?」

と耳打ち。

「あっ…は…はいっ」

慌てて鞄の中に手をいれる。

こんな時に限ってなかなか見つからない携帯。

やっとの思いでつかんで取り出す。

「ちょっとかして」

とあたしの携帯を取り
ボタンを押して自分の携帯を上着の胸ポケットから取り出す。

「コレ、俺の番号やから」

「あ…はいっ」

「帰ったら電話ちょーだい」
なんてありきたりな言葉に胸を
高鳴らせたあたしを呼ぶ舞。

新人ホストがとめてくれたタクシーを指さしながら
「早く!乗るよ!」
と呼ぶ。

舞に駆け寄りオーナーさんに
軽く頭を下げてタクシーに乗り込む。

「礼奈〜‼ハマりなやぁ〜」

走り出したタクシーであたしの
ほっぺをツンツンする舞。

「だっ大丈夫‼」

慌てるあたしに

「ハマってたら止めたげるからな‼」

「うん…」

舞には頭が上がらない。