頬を抜ける風が少し寒く感じ始める11月のある日。

いつもの様に出勤していた土曜日。

12時をまわり 店の忙しさが一段落した頃。

待機席で血相を変えたナオちゃんがあたしに自分の携帯の画面を見せた。

「レナ!!これどうゆう事!?」

「??」

ナオちゃんの怒っている理由がわからず携帯の画面に視線をおとす。

【オーナーの彼女ってcocoのレナ?】
【月曜日に一緒に歩いてんの見た】
【彼女なん?色やろ?】
【オーナーと付き合ってんのはあたしやし】
【レナで間違いないと思う】

「…な…なに…?これ…??」

ナオちゃんに携帯を返しながら聞く。

「ホストの…暴露サイト…?みたいなやつ…
テツの事知りたくて見ててんけど…
同じ店やからオーナーのも書かれてあってんやん?
…で?どーなん?
レナって店行ったん一回だけやんな?
オーナーと接点ないやん?」

興奮気味に一気に話すナオちゃんに何も言えないあたし。

こんな時に…舞が居たら良いのに…

「なぁ!!レナ?!
なんか答えてくれないとわからへんやん!」

声を荒げるナオちゃん。

不思議がってこっちを見る女の子達。

「ナオ〜?どしたん?」

店のno.1のアイさんがなだめる様に話しかける。

「いや…あの…」

ここで内容を話すとテツの事もバレることになる。
ナオはテツとの関係を誰にも言ってないみたいだから…

ここの店の女の子はホストに対して余り興味がない子が多いらしい。

…って紘が言ってた。

たまに飲みに行く子はいてるけど…
ハマるとか…ましてや付き合うなんてありえないって感じ…