「裏切り者は出ていって・・・。」

同棲中の彼女からそう言われた・・・。

言い訳じゃないけど・・・浮気をした訳でもなんでもない。

ただ、何時も誰と付き合っても最後はこんな場面になってしまう。
そして、いつもこんな日は仲間の”一也“に愚痴るのが決まり事のようになっている。

――今夜も一也を誘った

二人で最近よく来る居酒屋のカウンターでいつものようにグッタリしながら話す。

「またぁ??っていうかなんで武人(たけと)はちゃんと説明しねぇの」

一也は呆れた顔をしながら枝豆をくわえて不思議そうに言った。

「ん~。言い訳が嫌い!!・・・だからかなぁ」

「わかるけどさぁ。一緒にいた所見られた女って・・客だろ??」

「そうだよ!たまたま会って、相談にのっただけ・・。」

僕の仕事は、“ネイリスト(ネイルアーティスト)で、客の相談をプライベートに持ち込む事も稀にあった。

「まぁ・・いいや。ところで今回はどれくらい俺のアパートに転がり込むつもりかなぁ??」

一也は焼酎のグラスをかきまわしながら、当たり前のように聞いてきた。

「さすがぁ!!わかってんねぇ。つってもそろそろ自分のアパート探すからさぁ。フラれる度に住むとこなくなんのも疲れたしさぁ。」
「じゃあ、さっさと探せよなぁ(笑)」

僕はこの反応がわかっていたかのように軽くうなずいた。