うち、男子苦手なんで。

ー昼休み

あ〜ちゃんと一緒に
うちの机を囲んで
弁当を食べた。

"おいし〜っ!やっぱり弁当いいね。"

"ぅん。おいしいね"

うちの好きな弁当の
おかずは唐揚げ。

まぁ今日は冷凍食品の
唐揚げだけどね。

"はは。"

"ん?"

"れもんってリスみたい
"リス?"

"ぅん。
唐揚げ入れてる
ほっぺの部分が
ぷくって膨れてリス
みたい。"

"…。"

恥ずかしい。

"あっ。
また顔赤くなった。
照れ屋さん♪"

"うっうるさい。"
"れもんちゃ〜ん。"

顔が熱くて手で
パタパタしてると
クラスメートの女子に
呼ばれた。

なんだろ?

席を立ち上がり
呼んでくれた
クラスメートの元に
行ってみると

"廊下で誰かが
呼んでるよ?"

あぁ。

またか。

ちらっと見ると
黒髪に顎髭をちょっと
生やした人がいた。

ー"はい"

"さくられもんcだよね
俺と付き合"無理です。 ごめんなさい。"

即答。

"何でれもんちゃん
って他の奴らの告白
断ってるの?"

"…。"

"俺と付き合えば
何か変わるかもよ?"

"男子と付き合う気は
ないので。"

"えー。あっ何か理由が あるんだろう?
例えば女しか好きに
なれねぇとか。"

…馬鹿じゃない。

遊び半分でうちの
告白の返事を試してる
ようにしか見えない
から付き合う気なんて
ない。

"あっ図星!?あとは〜
昔男子にいじめられ
"おい。"

目の前にいる男の
失礼な言葉がすごい
嫌で目に涙を浮かべた
頃。

一人の救世主が現れた。
"何の話してるの?
俺も混ぜてよ!"

超ニコニコ笑顔でやって
来たのは佐藤春馬。

…救世主?なのかな?

目にためた涙を急いで
拭って佐藤春馬を見た

"はっ?何だよてめぇ"

"えー。何の話しを
してたか聞きたいだけ
なのに。"

"関係ないだろう?"

"れもんちゃん…
困らせてただろうが。"
急に変わった低い声。

笑顔が消えた。

"顎髭君さ〜
事実でもないのに
れもんちゃんの悪口的
な事言うの止めて
くれない?"

"断るこいつが
わり〜じゃん。"

そう言ってうちの方に
指を差す。

なっ何でうちが悪いの

するとうちの前に
やって来た
佐藤春馬がいた。

うちの目の前には
佐藤春馬の広い背中が
ある。

"顎髭君さ〜
自分がかっこいいから
まさかれもんcが
断らないって思ったん
じゃない?
で断れたから腹いせに
色々言ってたんじゃ
ない?"

"…。"

佐藤春馬が作った
ニックネーム顎髭君は
たじろいた。

"俺ちゃんと一部始終
見てたから。"

ニヤっと佐藤春馬は
口元を緩めた。
"てめぇ…"あの。"

顎髭君は怒りに怒って
佐藤春馬を殴ろうと
した。

殴り合いなんて大変だ

小さな声で顎髭君の
動きを止めた。

"うち顎髭…あなたと
付き合う気は
ありません。
うちのことは何でも
言っていいけど
うちのことを助けて
くれた佐藤春馬には
手を出さないで下さい
あくまで佐藤春馬は
正しい事を…多分した
と思うから。"

言いたいことを全て
言った。

男子の前で言える自分
すごいなぁ。

"勝手にしろ!お前何か 最初から興味ねぇよ。
遊び半分だ。"

そう言って顎髭君は
去って行った。

遊び半分って
わかってるけど
面と向かって言われる
と結構つらい。

"れ〜もんちゃん。"

佐藤春馬が振り向いて
うちを見た。

…。

はっΣ(゚□゚;)

"名前で呼ぶな。

"れもんちゃんれもんc
れもんちゃんれもんc"

"きもい。"

"…。"

目は合わせない。

なんか名前呼ばれて
恥ずかしい。

"俺は嬉しいなぁ〜
れもんちゃんが
佐藤春馬って名前で
呼んでくれたの。
フルネームだけど。"

ちらっと見ると
佐藤春馬が嬉しそうな
笑顔をしていた。

"あっそうだ。"

かと思うと
何か思い出したのか
顎髭君の去って行く
背中に叫んだ。

"れもんちゃんは
俺のものになる予定
だからー!"





…はい?

言葉が出な…い。

"なんで"予定"なのよ"

"あっ"予定"取り消して 付き合っていいの?"

"無理。"

"ははっ。"

あっあ〜ちゃん待たせ
ちゃってる。

"じゃ、行くから。"

佐藤春馬に別れを
告げてから
教室へと向かう。

"あっ。"

"ん?"

教室に入りきる前に
佐藤春馬に向かって
いた。

"助けてくれて
ありがとう。"

その一言で
佐藤春馬がすごい
嬉しそうな笑顔をした

それがうちの頭に
いつまでも
残っていた。
"そんな見つめんなよ"

"あっごめん。"

"かわいい。"

顔が熱いです。
顎髭君告白事件から
変わった事が一つある

佐藤春馬がモテる
ようになったこと。
顎髭君からうちの事を
助けてくれる所と
"俺のもの"みたいな
変な宣言を聞いていた
生徒から広まったせい

いわゆる佐藤春馬は
今モテ期なのだ。

いや〜さすがに
かわいい女の子に
モテたら
うちの所には
来ないでしょ。

そう思った。

実際いっぱい女子から
ボディタッチされたり
告白されたりしてる
もんね。

ふぅこれで安心。

ーじゃなかった。

"れもんちゃん♪"

えっ。
ある休み時間やたら
女子がキャーキャー言ってる
なぁと思ってたら
それは自分の教室に
まで広まった。

ー佐藤春馬がいたから

名前が呼ばれた瞬間
一目散にあ〜ちゃんの
ところへ。

"あ〜ちゃんあ〜ちゃん
"んあ?"

"どぅしよう。
佐藤春馬が来た。"

そう言って棒つきの
飴を食べてた
あ〜ちゃんの後ろに
隠れた。

"れもんちゃん
隠れないでよ。"

"そ〜そ。れもんちゃん 隠れないでよ。"

あ〜ちゃんの目の前
までやって来た
佐藤春馬はニコニコ笑顔で そう言うとあ〜ちゃん
も便乗。

"な…んのよっ用ですか
今度さ〜れもんちゃん
と遊びたいと思って。

"えっなになに2人で? ニヤニヤ"

ふっ2人!?

"そうふた"無理。"

"付き合ってからなら
まだしも…。"

まだ佐藤春馬に
慣れてないんだし。

"じゃ、付き合う?"

"無理。"

"…( ̄∇ ̄)"

うちと佐藤春馬の
やりとりを見て
あ〜ちゃんは
ため息をついた。

"ほらっ
れもん出ておいで!"

そう言って無理矢理
うちを後ろから
引っ張り出した。