電話を切って俺は全力で走った。
今すぐに解放してやりたい
今すぐ楽にしてあげたい。
もう亜弥を縛りつけたくない…
苦しむ亜弥を見たくもないし
これ以上、傷つけたくない…
「…ハァハァ……ハァ…」
インターフォンを鳴らすと亜弥はすぐに出てきてくれた。
「ヒ…ヒロ……どうしたの?」
「……話がある!」
「……うん」
「入ってもいい?」
「どうぞ」
亜弥の部屋に入るのは数えるくらいしか無い。
来る度に思う…亜弥らしい部屋だと
きっと亜弥はこの部屋に戻る度に俺のせいでたくさん泣いたんだと思う。
今さら、そんな亜弥を切なく思う
今、目の前で笑っている
彼女は俺のせいで
たくさん泣いて
悩んで
苦しんだ……
「…亜弥、何かされた?」
「……へ?」
表情が曇った
ああ…何かされたんだ…
冷静に思う自分がいた。
「俺のせいだ……本当にごめん…」
「………」
「…ごめん、なんかで許されないよな……」
「……」
「俺、なんだってするから…亜弥が俺のこと許せるまでなんでもするから…」
「ちょっと!何を言ってるの?……それじゃまるで…私………犯された……みたいじゃない………」
「……え?」
「何もされて無い!」
「…へ?」
「車に連れ込まれたのは…事実……でも抵抗したら…放してくれたから……」
「…本当?」
「私が簡単にやられると思う?!」
ニカッて笑って
俺の肩をパンチした。
「……良かったぁぁあ……」
安堵のため息が盛大に漏れた
「はは…何?……心配してくれたんだ…」
「……まあ一応…」
「聞いた時、ビックリした?」
「…うん。……俺、最近ヒドイ事ばっかりしてたから…その事聞いて目が覚めた…」
「……」