「………ごめん…」
「…謝らないでよ」
亜弥の渇いた笑いが耳に響いた。
「…惨めになるから、謝らないで……」
「……」
「私は、ヒロくんのこと好きよ…何されても……」
「……前に言っただろ"理由はきっと一緒だから"って……」
「…はは、まだ覚えてたんだ……」
「忘れるわけないだろ……」
「あれは、あの時の言葉……今はね…」
「……」
「ヒロくんが私を利用してくれてもいいから、私はあなたが好き…」
俺たちは元々お互いを利用していた。
俺は祐実を
亜弥は前の男を
忘れるためにお互いを欲した。
そんな関係で俺は良かったし
今もこのままで良いと思ってる。
だって祐実以外の女を本気で愛せる気がしないから…
だけど亜弥は一歩踏み出して、本当に俺の所に来た。
まだ完全に祐実に吹っ切れた訳では無いけど
ずるい俺だけど、
震える亜弥の手を握って
偽りの愛を貫こうと誓った……