最近、
特に私が高校2年になって、智人が同じ学校の後輩になってから、
私たちはよく似ている、と、近所でしょっちゅう言われるようになった。
私が、妹たちより?、と聞くと、
顔は似てないんだけど、なんだろうね、仕草とか、雰囲気とか、
智人はよっぽど、千影がすきなんだねぇ、
と答えが返ってきた。
ふーん、と、
私は興味なさそうに言ったが、
私の笑い方が、智人のと似てる、と母に言われたことを思い出したら、なんだか急に恥ずかしくなったんだ。
「プリン、ついてる」
智人が、私の口角の辺りについていたプリンの小さいのを、
ペロリ、と舐めた。
濃厚な、彼の匂いが、私の鼻のあたりを泳いで、くすぐった。
「甘い」
ふふっ、と、思わず言葉を漏らすと、
「え?」
不思議そうに、私の顔を覗き込んだ。
そりゃぁ、そうだ。
普通、今のセリフは、智人のものなんだし。
彼の瞳に、私が映った。
数十秒の沈黙。
前は、この時間、私は酔っていた。
しかし、今は、違う。
彼の空気が、私のそれと、混ざり合う。
一体化するこの空気は、吸うと、もとから自分のもののように、落ち着く。
彼は、私。
私は、彼。
それはまるで、タバコのような、
全く別物のような、
形のないものだった。