「なぁ、すみれ」


手を、触る。


「……うん」


すみれが、またこちらを振り返ってくれた。

凄く、安堵する。


すみれは冬李の瞳を見つめたままそれ以上なにも言わず、
冬李も、すみれから瞳をそらせず。


しばらく無言で見つめ合っていた後
すみれが沈黙に耐えかねたのか、
口元を手で押さえながら、小さく笑った。



その表情に、
冬李の胸は高鳴る。


鼓動は、早まるばかりで
おさまってはくれない。