こ、この声…日向君っ!


慌てて振り向くと、ムッとした表情で唐沢君の方を見ている日向君の姿が映った。


「あ、夏綺じゃん!っていうか、なんでダメなんだよ。」


「椎名の反応、見れば分かるだろ?明らかに困ってるじゃねぇか。」


日向君と唐沢君。


二人から顔を見つめられた私。


ビックリして、視線があちこち泳いでしまった。


「んー、確かに夏綺の言うとおりかも。星愛ちゃん、いきなり誘ったりして、ごめんね?」


「あっ、いえ…。」


私と同じ目線に背を屈めて謝る唐沢君。


ちょ、ちょっと…顔が近い…。


固まっていると、日向君が唐沢君の頭をペシッと軽く叩いた。


「碧、椎名に近付き過ぎ。もっと離れろよ。」


日向君を見ると、不機嫌そうに眉をしかめている。


こんな表情、見るの初めて…。


日向君、どうしたんだろう…?