男は、すでにいなくなっていた。



あっ…


早く体育館行かなきゃ…


って道分からなかったんだった。



晴香にここに来てもらう?


でも…ここどこから分からないし…


ブーブー。


カバンの中で携帯がなる。


あっ。晴香。


「もしもし?」


『怜菜。今どこにいる?』

「えっとね…分かんないけど中庭みたい。時間あったから、適当に歩いてみたら迷っちゃって…」


『たくっ…そこ動くなよ。』


電話を切って


晴香を待つ。



「怜菜。」


「晴香。…良かった。」  


「早く行くぞ。入学式始まる。」


晴香は、私の手を掴んで走り出した。