「…泉、」

利一さんが部屋に入ってきた。

「もうここから出て行き。」

「え、」

利一さんがそんなことを言うなんて思わなかった。

「吉村さんは、ちゃんとお前のこと考えてくれとる。大丈夫。泉ならやっていける。」

「…利一さんは俺のこともう必要じゃないんですか。」

「違う。泉にはここにおってほしい。でも、泉には未来がある。こんな田舎でただただ過ごすよりも、お父さんのところに行って泉の力を発揮できるような仕事に就けた方がええんやないかな。」

利一さんが俺のことを考えてくれてるのが痛いほど伝わった。

それでも。