「ここに来る前に、近所の人たちに利一さんのこと尋ねたんです。そしたらみんな、利一さんはいい人だって言うし。自分の目で確かめてやろうと思って、無茶言って泊まらせてもらったんですけど、そしたらほんとにいい人で。優しいし、それに、澪姉ちゃんが書いた原稿を全部大事にしまってた。」
美姫さんはファイルを見る。
「この原稿見てたら、優しい澪姉ちゃんを思い出して、欲しくなって、盗っちゃいました…。この本も、昼間に読んで感動して、ちゃんと買おうと思ったけど売り物じゃなかったようなので…」
盗んでしまったということか。未遂だけど。
それでも、美姫さんは悪い人ではないということがわかった。
すごく気持ちがわかる。