体を揺らされ重たい瞼を開けると、心菜の心配そうな顔があった。

窓の外は、夕焼けが綺麗な“赤”を保健室に差し込んでた。


残りの生徒会の仕事が終わるまでに、着替えをしとく様に言われ、出て行く心菜の背中を黙って見送った。



居ない間に、倒れたら心配だからって美鶴って土産付きで。

って……倒れねーし。


保健室のドアが閉まると同時に、口を開いた美鶴。


「姉ちゃん、陽呂が寝てる間、ずっと側に居たんだよ?」

「え?」


ブラウスの袖に手を通す俺の動きが止まる。


「すっごく心配してたよ?」

「そか」


また何か知ってるかの様な嫌な笑顔で、俺を見る。

でも、今日は、凹んでるから……その顔も辛い。




何で俺……気づいたんだ?

心菜が好きだって……気づいたんだ?




柏原と両想いって、分かったのに。

何で今……なんだよ。