1年前  夏

「今日、塾始まる前にみんなで遊ばね?」
その流矢の一言が始まりだった。
「いいねー」
「賛成ー!!」
もちろん、私も賛成だ。
流矢と出会ったのは4年生のころだった。
私は4年生のころから流矢が好きだった。
でも、まぁどうせ私の気持ちなんて届くはずもないし
この世の中、少女マンガみたいになるわけでもないんだ。
とにかく、私はあきらめていて、恋愛なんて1ミリも興味がなかったんだ。


4時30分ぐらいになっていた
なぜか私は流矢と二人っきりになっていた
なんだろう、なんかドキドキする‥‥。
「あのさー、オレ玲那に話があるんだ」
いきなり流矢が話しかけてきた。
なんだろう、話って。
「うっうん、何?」
「オレさぁ、好きなやつがいるんだ」
えっ‥‥‥?好きな‥‥子?
「へぇ、告るの?」
「うん、今日言う」
ズキっ‥‥なんだろうこの痛み。
誰なんだろう‥。
「思いが届くといいね」
「あぁ」
そう言うしかなかった。
私は流矢が幸せになるならそれでいいんだ。
私はぜんぜん平気だから‥
流矢が自動販売機でキリンレモンを買った。
そして飲み始めた。
「飲む?」
流矢が飲みかけのキリンレモンを私の目の前で揺らした。
「飲みかけだから‥なんか悪いからいいよ」
本当は飲みたいな‥‥。
「そーゆうのは好きな子にやらなきゃ‥‥」
「好きだからやってるんだよ!!」