暑い中
他の人の叫び声があがる
横断歩道には血のついたタイヤの跡と血だらけの小さな体が倒れていた
近くに駆け寄ると、君は目を閉じて倒れていた
ここにいるのは君じゃない。
ついさっきまで一緒に笑っていた君じゃない
「すぐに救急車呼ぶからね」
どこかのおばさんが言った
……ポタポタとアスファルトに水滴が落ちた
それはどうやら、僕の涙らしい
話かけようと口を開けようとするが言葉が出ない


伝えないと。
伝えようと決めたんだ。
早く伝えなきゃ。

揺れるカゲロウが僕の近くに立っていた
それは僕と君とを邪魔するように立っていた

お願いだ、邪魔をしないでくれ。
やっと伝えるんだ
後でなら何回邪魔してくれたっていい
今だけ放っておいてくれ

遅くなっちゃったけど聞いてくれ…





僕は君が好きだった