プールが終わるまで、あと20分
私はただボケーとしていた
さっきのは……うっ嘘だよね!!
うん!絶対嘘!!
後から「さっきの嘘!」って言うにきまってるよ
はぁぁぁ……恋愛ってよくわかんない…
付き合ってた私が言うのもなんだけどね
優大……バカがわかるように言ってよね
私、いっつも理解が遅いことしってるでしょ?
このごろため息しか出てないや
「……っさん、れっさん!」
いきなりのさあやちゃんの声で我に返った
「れっさん、どーしたの?ぼーっとして。突き落すよ?」
さあやちゃん、コワっ!!
「なんでもないよー!」
あのまま、さあやちゃんの声に気づかなかったら今ごろプールでおぼれてるよ…
まぁ、泳げるけど…
さあやちゃんと雑談をしながら優大のほうへ視線を少し向けてみた
優大が泳ぎ始めていた
あぁ…優大ってなんでもできるんだなぁ
そんなことを思ってると隣に男子が座った
「な~におちこんでんだよっ」
声をかけてきた
錐だ
「あんた、今日プール入らないの?」
「今日ははいんねぇ」
錐は顔はイケメンで女子によくモテるんだ
いろんなことにいつも積極的で、一見、コワそうに見えるけど
しゃべってみれば優しい。
「お前、もうちょっと笑え、なんかあったのか?オレが特別に聞いてやるよ」
「えっ?いいの…?」
「言ってみ?」
「錐っていっつも自信満々だよね、そういう自信はどこからわいて出てくるの?」
なんか長々しく聞いてしまった
「なんだよ、そんなことか」
「やーちょと自分に対しての自信ズタボロで……」
「ふーん」
このごろいろんなことに自信がない
勉強、部活もそうだけど優大のこととかぁ……
「自信なー、自信ねぇーー……」
と言っていきなり私の肩を掴んだ
「オレ、大好きなんだ」
え?何が?
「自分が」
すっごいくもりのない瞳…!
「顔よし、カラダよし、運動神経よし!自信持つなっていうほうがムリっつーか?」
さすがに「頭よし」は除外なんだ(笑)
「んー具体的に言えば自信ってのは自分を好きってことと、自分を認めてくれる人間がいるってことが大事なんじゃね?」
おー、こいつ意外といいこと言う
「なんか感動したー!」
「おっ!だろ?あがめたてまつれ!」
前向きっていいなー、錐みたいに自信持って、もっと強くならなきゃ
「やっと、笑顔戻ったな」
「うん、ありがとう!」
そう言ってもう一回、錐の方を向くと
錐は誰かを眺めてたんだ

私は



きっと君が好きな人なんだと思う