「おい、見ろよ。真っ赤な眼帯とか派手じゃね?」

「うわー、ホントだ!! すっげー…どんな趣味だよ」

「ヴィジュアル系バンドの追っかけとか?」

「マジおっかねー」

真白を指差し、にやにやしながら話している。距離も大分縮まり人数も確認出来た。

四人…か。

あれは確か東第三高校の制服だったと思う。願書を書けば高確率で合格出来ると噂の。

真白は視線を逸らして溜息を吐いた。

―――眼帯のことに関して色々言われるのは構わない。寧ろ注目して徹底的に貶してくれればいい。いっそ私の存在さえ許さないというほどなじってくれたら……。

ただこいつらに限っては、あまりにも低レベルな会話にほとほと呆れてしまうだけで。真白は仕方なしに素通りしようとした。

その時。

「痛っ…!!」

強く腕を掴まれ、歩みを止められた。

右目だけでキッと睨みつけると、グループのリーダー格の男が真白を品定めするように、頭の先から足先まで見つめてくる。気持ち悪い笑みもそのままに。

「なあ! この子、人形みてえな顔してるぜ!!」

「へえ、どれどれ?」

「あ、マジだ! 髪とか肌もめちゃ綺麗じゃん」

「俺にも見せろよ!!」

…いちいち全員で寄ってくんじゃないわよ。

真白は心の中で悪態をつくと、右足の爪先を地面にとんとんと打ちつけ始めた。それ以上近づいたら一発入れてやる。そう思いながら。

するとリーダー格の男がカメラ機能付きのスマートフォンを取り出し、楽しそうに口を開いた。

「こういう子って写メ撮って投稿サイトとか載せたら面白そうだよな」



その一言で男達は一斉に盛り上がったが、同時に真白の怒りのバロメーターも針を振り切った。