「ねえ…コンビニだよ? なんで普通に買い物して来られないのよー…」

「違うわよ! 店員が馬鹿だったの!!」

間髪入れずに否定の言葉を述べる真白に耳を傾けると、『商品名を伝えても理解出来ないほど低レベルで馬鹿な店員がいた』とのこと。そんな店員がいたら確かに問題だろうが、真白の伝え方がどのようなものだったかも定かでない為、結衣は何とも言えなかった。

「ふぅん。それで大事なトコ蹴って帰ってきたんだ」

「そうよ!」

「そして傘も置いてきたと」

「……」

「本当バカね」

「……」

すっかり黙りこくって膝を抱える真白に「意地っ張りね」と苦笑し、乾かし終わった髪にブラシを通す。

絡まることのないこの髪と同じように、彼女も素直であればいいのに。

そう思いながら丁寧に丁寧にブラッシングをしていると、すーすーと穏やかな寝息が聞こえてきた。毒舌なお姫様はすっかり夢の中に意識を置いているようだ。

真白の小さくて軽い体は、簡単とはいかずとも同性の結衣でも抱き上げることが出来る。そっとベッドに寝かせるとゆっくりと毛布を掛けて眼帯を外してやると、結衣は隣に滑り込んで同じように瞼を閉じた。



「明日は晴れるといいね」と、眠り姫の白い耳に囁いて。