エレベーターが到着したフロアには厳かなフローラルブーケや絵画が飾られており、まるでロココ調を意識したホテルのロビーのようであるが玄関扉は一つしかない。真白はそこにカードキーを差し込み、カチリという音と同時にバンッと乱暴にドアを開けて財布を床に投げつけた。すると。
「おかえりー! 早かったね!」
玄関から一番近い真白の部屋のドアが開き、栗色のショートボブを揺らしながら横山結衣が顔を出した。すると真白の恰好を見て目を見開く。
「ちょ、ちょっと! さっき傘持って行ったでしょ!? なんでそんなずぶ濡れなのよ!?」
「馬鹿男一号と二号のせい」
「はあ?」
「だから、馬鹿男一号と二号のせい!」
「んー…よくわかんないけど、とりあえずタオル持ってくるから待ってて!」
「いいよ。着替えるし、いらない」
「だめ! 風邪引くからシャワーも浴びなさいよ!」
床が水浸しになることも気にせず、そのまま室内に上がろうとする真白をなんとか制した結衣は、素早く洗面所から持ってきたふかふかのタオルを真白の頭に被せると、軽く髪の水気を拭き取ってやる。その間もシャワーを浴びなさいと言われた真白は、叱られた子供のように唇を尖らしながら渋々バスルームへと足を向けた。
「おかえりー! 早かったね!」
玄関から一番近い真白の部屋のドアが開き、栗色のショートボブを揺らしながら横山結衣が顔を出した。すると真白の恰好を見て目を見開く。
「ちょ、ちょっと! さっき傘持って行ったでしょ!? なんでそんなずぶ濡れなのよ!?」
「馬鹿男一号と二号のせい」
「はあ?」
「だから、馬鹿男一号と二号のせい!」
「んー…よくわかんないけど、とりあえずタオル持ってくるから待ってて!」
「いいよ。着替えるし、いらない」
「だめ! 風邪引くからシャワーも浴びなさいよ!」
床が水浸しになることも気にせず、そのまま室内に上がろうとする真白をなんとか制した結衣は、素早く洗面所から持ってきたふかふかのタオルを真白の頭に被せると、軽く髪の水気を拭き取ってやる。その間もシャワーを浴びなさいと言われた真白は、叱られた子供のように唇を尖らしながら渋々バスルームへと足を向けた。