ちょうど鞄に入れていたタオルで身体を拭き、着替えを済ませてからヘアワックスをつけるが濡れた髪ではやはりきまらない。

だが、ここ一週間ほど続いていた苛立ちは不思議なほど感じなかった。


───それよりも、あの少女のことが頭から離れない。


拾得物入れを見遣り、少女の眼帯と同じく熟した苺のように真っ赤な傘を、こっそり自分のロッカーにしまった。





物凄く整った綺麗な容姿で、物凄い睨みを利かせて、物凄い毒舌を巻いて、赤い眼帯よりも強烈な印象を残して帰っていく。
荒れ狂う大型台風のような女の子だと思った。


今日、あの曲がり角で飛び出してきた女の子が眼帯の少女だったなら、一体どんな反応をされたのだろうか。